永谷研一ブログ

永谷研一ブログ

執筆秘話(3/5)印刷機に乗る寸前。ギリギリで差し替えた言葉とは

2013年に出版した拙著「絶対に達成する技術」は2019年7月31日で絶版になります。(リニューアル出版のため) そ
れを記念した執筆秘話(限定5話)をお送ります。

第3話:印刷機に乗る寸前。ギリギリで差し替えた言葉とは

出版というのは、出版社内で企画が通った後に
著者が執筆を本格開始して数ヶ月で書き終えて
出版社に提出するのすが、その後
初校ー再校ー再々校(三校)ー校了ー印刷
という流れになります。
この初校から校了までの期間、人によるかもしれませんが
だいたい1ヶ月半くらいでしょうか。

印刷したら最後。誤植を治せませんのでその前に厳密に
確認する工程になるのですが、とくに再校ー再々校(三校)までの
間は1、2週間しかない場合が多くバタバタの日々になります。

出版というのは営業さんも走っていて書店さんとの根回しも
進んでいるので発売日を変えることはできません。
よって校了したらすぐに印刷にかかります。
もう後戻りできない段階です。

そして普通、再々校(三校)が終わったらすぐに校了ですので、
滅多なことがないかぎり書き直すことなんてできないのですが
なんと「絶対に達成する技術」ではそれをやってしまったのです。

それは4章は「人から吸収する技術」の一部分です。
この章は、フィードバック技術を書いたのものです。

そこにはフィードバックの構造として
共感+質問
が書いてあります。
ところが、再々校(三校)が終わった段階では違う言葉だったのです。
元々は
「共感+問いかけ」
でした。
フィードバックは相手の内省を喚起するために行うこと、
要は「違う視点で考えてもらい、新たな気づきを与える」ため
に行うこと。
よって意味としてははこちら(問いかけ)で正しいのですが、
「質問」という言葉と迷っていました。

また、「質問」と言うと単なる「疑問」と勘違いして、
”不明点を聞くこと”をする人がいるからです。
「例の件どうなってたっけ?」など。

これでは相手がもう一回考える、内省を喚起する「問い」
にはなり得ません。その勘違いを避けるために
「問いかけ」という表現の方がいいと思っていました。

ただ最後の最後で、どうも美しさが気になってしまった
のです。
漢字二文字で統一した方がキレイだなと、
と思ってしまったのです。
・共感
・質問
縦に並べても綺麗で美しい。質問に変えよう!
と思ったのでした。
はい。すいません。単にそれだけです。

出版社の編集に「”問いかけ”を”質問”という言葉に変えたい」
言うと、「何箇所もあるので、この時点で変えるのはリスクがある」
と最初は難色を示されましたが、「そこをなんとか」と頼み込み、
ギリギリで
共感+問いかけ
から
共感+質問
に差し替えられたのでした。
おそらく、印刷機に乗る前日だったと思います。

こうやってPDCFAメソッドのフィードバック技術は
共感+質問
となりました。

今となっては、この判断に間違いがなかったと断言できます。
わかりやすさが一番です。

なぜならこの(共感+質問)というフィードバックメソッドが、
中学校、高校のクラスで使われたり、企業の朝礼の
アゲアゲワークで使われたりしているからです。
「隣の人に共感したあと質問しよう!」と。

「問いかけ」にしていたら、意地悪質問や禅問答の
ようなことを言う人が増えていて、楽しい雰囲気に
ならなかったでしょう。

「こんな小さいことに拘ってるんだねえ」と突っ込みがあるかも
しれませんが、教材やメソッドは、産みの苦しみがあって
苦労して生まれる発明品。いわば自分の子供のようなものです。
よってこんな細かいこともメソッド開発者としての想いがあるんですね。

そして多くの人に使われてピカピカに磨かれていくものだと思います。
これが、
「印刷機に乗る寸前。ギリギリで差し替えた言葉」
でした。

P.S.
フィードバックする技術なのになぜ「人から吸収する技術」なの?
と疑問に持つ方はもう一回読んで思い出してもらえると助かります。
それが
フィードバックでの「質問(問いかけ)」はブーメランのように
で自分に戻る、という説明です。

本にはわかりやすく”ブーメラン”と書きましたが、本当の
学術的には「フィードバックループ」という研究があります。

人にフィードバックをした人ほど自分が成長するというもの。
相手が成長するのは当たり前ですがフィードバックした本人が
一番成長するということ。

私自身も同研究で論文を共著しました。
https://jasla.jp/report/

この論文をある研究会でプレゼンしたところ基調講演でいらっしゃっていた
ペンステート大学(ペンシルバニア州)のミンディ・コンハーバー博士
(Dr. Mindy Laura Kornhaber)から、
「あなた面白い研究しているね。フィードバックループという
研究があるからもっと調べるといいよ」と声をかけてもらいました。
飛び上がるほど嬉しかったです。

ちなみにミンディ先生は、多重知能理論MI(マルチプル・インテリジェンス)
で有名なハーバード大学教育学大学院教授のハワード・ガードナー教授
の元でMIを研究されている先生です。
私の友人である、アートセラピーや芸術思考の第一人者、
有賀三夏先生(東北芸術工科大学)もガードナー先生の元
プロジェクトゼロでMIを研究されていた研究者です。
私の周りには本当にいい研究をしている先生が多いので
いつも楽しい研究発表をさせてもらっています。

Page Top

Contact US

製品に関するご質問、ご相談、取材の依頼など、お気軽にご相談ください。

コンタクトフォームへ
Facebook